Player-centered

 数年前某知事が事あるごとに連呼していた『アスリートファースト』。多くのスポーツ界のパワハラニュースでも同句は使われ続けていました。選手を大切にするという事を広めるきっかけにはおあつらえ向きのキーワードになっていたと思います。

 しかしながら、現在のスポーツ指導の中では『アスリートファースト』ではなく『プレイヤーセンタード(Player-centered)』という考えが広まりつつります。まだまだ浸透してはいませんが私自身は講習で知識として吸収し、その考えで指導の現場に立っています。『プレイヤーセンタード』とは簡単に言えば、選手(プレイヤー)と選手を取り巻く周囲の人たちが幸せを感じられる様な環境を整えようという考え方です。アスリートではなくプレイヤー、ファーストではなくセンタード。この字面の違いは、表現の違いというような小さなことではないと私は考えます。トップ選手をイメージさせる”アスリート”ではなく、様々な環境でスポーツをする全ての人を”プレイヤー”は指しています。つまり特別な人に対する事ではなく、対象は広い事なのだというイメージを持って欲しいのです。トップ選手であろうとも、スポーツを始めたばかりの子も、月に一回趣味でやっている人も同じプレイヤーなのです。

 そのプレイヤーとその周りで支えている人々が幸せを感じる事ができる環境を構築するのがセンタードであり、選手のことだけを考える事を意味するファーストではないのです。もちろんプレイヤーを第一には考えるのですが、周りを犠牲にしてはいけないということなのです。プレイヤーも指導するコーチも家族やチームメイト等も、プレイヤーを支える人たちもプレイヤーを支援する事に大なり小なりの幸せを感じていないと続かないというのは理解していただけるでしょう。

 プレイヤーはコーチがいる事でできる事も増え、スキル向上につながるでしょう。コーチはプレイヤーがいてコーチングができるのです。全てにおいて同等とはなりませんが、プレイヤーもコーチもお互いがいてこそそれぞれの目的を達成する事ができるのです。つまりパワハラが起きるほどの大きな力関係の乖離は関係(指導)の破綻に直結するのです。競技を理解していない初心者の段階ではコーチの言う通りに一から十まで従うようになるのは致し方ないとは思いますが、ある段階からコーチもプレイヤーの意思や意見を聞き方向性を共に考えるようになるべきなのです。上のカテゴリに進むにつれこの様な流れは必須になるでしょう。

 『プレイヤーセンタード』。ちょっと言いにくいかもしれませんが、選手である子供たちも私達指導者も、保護者の皆さんも笑顔になれる環境の構築を意識しようと思うのです。


 現在。感染症対策として学校が休校となっています。大変な事態であり致し方ない事だと思います。『対ウイルス弱者センタード』ではなく、「子供ファースト(子供たちだけを守る)にしなさい」と言われていると私は捉えています。周りを犠牲にしない方策を後回しにしてしまったツケが返ってこないことを祈るばかりです。子供たち以上に大人が動揺している感がニュースや周囲の話から伝わってきます。子供たちにまで浸透しないでほしいと思います。『1(イチ)か0(ゼロ)』の考え以外はなかったのか(?)と思うのです。先ずはいち早く状況が落ち着くのを願うばかりです。

自粛要請で少し時間が取れたので私の想いを綴ってみましたが、『センタード』の考え方はスポーツ以外にも当てはまる事だという事を記し締めたいと思います。

by.和

写真は本文内容と関係ありません

Lien kawaguchi

西公民館Jr. 翔凜 REINAS Ringa La+ 4つのカテゴリのチームと指導・普及を目的としたスタッフ集団で川口市をBASEに活動しているバレーボール団体です。 メンバー、練習生加入等問い合わせは下記まで。 mail:lien1110@outlook.jp

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